生活を豊かにしてくれる季節のお花たち。コロナ以降ご自宅に花を飾って楽しむ方が増えています。
せっかく買ったお花、長持ちさせて楽しみたいですよね。この記事では、切り花を長持ちさせる方法・切り花のお手入れ方法をご紹介いたします。
■目次
1.切り花を長持ちさせるポイントは大きく3つ
2.家にあるもので出来る。切り花が長持ちするお水
3.水替えのタイミングとひと工夫
4.覚えておこう。水切り方法・水揚げ方法・湯揚げ方法
5.花束やフラワーアレンジメントを飾る時のポイント
6.長持ちする切り花の種類は?季節ごとのおすすめ
7.花のある暮らしを楽しむ。置き場所とお手入れのまとめ
8.切り花を残したい。プリザーブドやドライにして楽しむ。
切り花を長持ちさせる方法は水。ポイントは大きく3つ
<1>お花に良い水環境にすること
切り花をいれると、水中には雑菌が繁殖しやすくなります。水の清潔さを保つことと、お花が必要な栄養を補給できることが大切です。
<2>水替えをこまめに行うこと
切り花を活けている水は、こまめに水替えを行うことで、水や花茎が傷むことを防ぎます。水替えの際に、花の状態をチェックしてあげましょう。
<3>花の水揚げを良くすること
水揚げは、お花が水を吸いやすい状態にしてあげるひと工夫。切り花を飾る前や、元気がなくなったときにきちんと水揚げをすることでお花を長く楽しめます。それぞれ詳しく解説していきます。
家にあるもので出来る、切り花が長持ちする水
ポイント1の、「お花に良い水環境」というのは、まずは花瓶の水を腐らせないようにすること、そして花への栄養分を補うことってあげることで花は長持ちします。
<塩素系漂白剤(ハイター)や、食器洗剤を入れる>
雑菌の繁殖を防ぐ効果があります。ただし入れすぎには注意。500mlに対して2、3滴が目安とされます。器の材質にも注意してください。特に金属や木製の器は、腐食・変色の原因になりますので漂白剤の使用は避けてください。
<酢、重曹を入れる>
60倍程度に希釈した酢水を使う方法があります。お花の殺菌作用があります。
重曹は花瓶にひとつまみ程度を入れます。いずれも入れすぎには注意します。
<10円玉を入れる>
10円玉からは微量の銅イオンが溶けだし、水中の細菌の抑制効果があると言われます。10円玉1枚から出る銅イオンの量は多くないので数枚入れます。また、銅製の花瓶にも同様の効果があります。
<砂糖やサイダーを入れる>
花の栄養分を補います。目安としてして500mlに対し小さじ1杯程度とされます。ただし水が傷みやすくもなりますので頻繁な水替えも必要です。
<切り花用の延命剤・栄養剤・長持ち液を入れる>
ここまででご紹介した方法は、はなどんやですべて検証したものではありません。お花によっての相性などもありますので基本的には切花用の延命剤がおススメです。
切り花専用の延命剤は栄養剤、長持ち液などとも呼ばれ。花の栄養分を補い、開花を助ける効果があります。1本もっておくと、ご自宅での花鑑賞に役立ってくれます。殺菌成分の入ったもの、最近では球根植物専用・◯◯植物専用…などの栄養剤も出ています。ぜひお試しください
水替えのタイミングとひと工夫
水替えは基本的に毎日。水替えの時に延命剤も新しく入れなおします。
ポイント2の「こまめな水替え」は、どのくらいの頻度でやればいいの?と悩まれる方もいるかと思います。
水替え不要を謳う延命剤もありますが、清潔な状態を保つには、やはり毎日の水替えがおすすめです。
夏は、朝夕2回の水替えをおすすめします。ぬるま湯のように水温が上がると吸水が鈍くなるので冷水や氷の利用も効果的。水替えの時には、花瓶の中もよく洗います。洗いやすい、汚れ落ちが見えやすいガラスの花瓶はおすすめです。
花の茎もチェック、傷んだ茎を切り戻す。
せっかく水をきれいにしても、茎が汚れていると水をすぐに汚してしまいます。ヌメっていたり、中まで変色している場合には放置はNG。茎をよく洗い、切り口を新しく切り出します(切り戻し)。茎が広く傷んでいる場合は、きれいな茎の部分までカット。カットした長さに合わせて飾り直しましょう。花の水切りや、切り戻しの際には切れ味の良いはさみを使いましょう。花種にもよりますが、切り口がつぶれてしまうと、せっかくのお手入れの効果が台無しです。花専用のはさみを1本は持っておくことをおすすめします。
覚えておこう。花を元気にする水切り、水揚げ、湯揚げの仕方
ポイント3の「水揚げを良くすること」は切り花によく水を吸わせたり、復活させるためのお手入れです。方法は様々ありますが、まずは基本の水揚げの流れを押さえておきましょう。
1)下葉処理…まずは、余分な葉やつぼみを取る。
たくさんのつぼみや葉を残すと、花よりも葉に水分が行き渡り、花に十分な水が届かずしおれやすくなります。
同じ理由で、茎が長すぎると茎から花までお水が届きにくくなるので短めがおすすめ。
2)水切り…きれいな水の中で茎を切る。
花によっていくつか方法があります。
・斜め切り・・・バラ、アジサイなど一般的な花の切り方
茎を斜めに切ることで断面を広く取り、吸水を促進します。
茎がつぶれないように良く切れるハサミを使いましょう。
アジサイの場合は茎の中のワタを掻き出すとより効果的です。
※ガーベラや小花など、茎がつぶれやすいものは真っすぐ切る方が良いです。
・水折り・・・菊、カーネーション、リンドウなど繊維質の茎の花
水の中で茎を折ります。断面の繊維が細かくなることで吸水しやすくなると言われています。
菊は金気を嫌うので手折りがよいとされています。
(※ただし、ハサミでの水切りでも特に問題はありません。)
【関連リンク】菊の水揚げ方法
・十字割り…ドウダンツツジなど、茎が固い枝物などの切り方
固い枝ものは、ハサミの先端で十字に割れ目を入れておきます。金槌などで切り口を砕く方法も。
【関連リンク】ドウダンツツジの水揚げ方法
水揚げ…花を新聞に巻き深めの水につける
… 水揚げの手順 …
1) 下葉処理と水切りを済ませた花と新聞紙を用意します。
2) 花の頭までが隠れるように新聞紙で巻きます。ゆるい巻き方はNG。花をまっすぐ支えるようにぴったりと巻くようにします。
3) 茎の半分~1/3程度の深さの水(延命剤あれば使う)に数時間つけます。新聞が濡れてもかまいません。
4) お花がピンとした状態になったら水揚げ完了です。飾るときは花瓶の水をへらします
※ガーベラはひまわりなどは浅いお水での水揚げが良いとされています。(水を吸いすぎる、長時間の着水で茎が傷みやすいため。)
【関連リンク】 ガーベラの水揚げ方法
4)湯揚げ…クリスマスローズ、コスモスなど水下がりしやすいもの、弱った花のケア
まだ新しいのにお花の首が垂れてしまう、花びらにハリがない、葉っぱが下に下がってくる・・・こんな状態になったら、それは水下がりのサインです。お花が上手に水を吸えなくなっています。水下がりしてしまったお花には、湯揚げをためしてみてください。繊細なお花、弱ったお花に使える水揚げ方法のひとつです。
新聞を巻くまでの手順は水揚げと同じですが、深い水につける前に茎を熱湯に浸してからすぐに深水へ移します。およそ70℃程度の熱湯で10秒~30秒まで。茎は1~2センチつけ、茎から気泡が出てくるのが目印です。
お花によってそれぞれ水切り、水揚げの適した方法は違います。詳しくは、こちらの記事も参照してみてください。
【関連リンク】
バラの水揚げ・湯揚げ方法
アジサイの水揚げ方法
百合の水揚げ方法
芍薬の水揚げ方法
※町のお花屋さんでは、基本的に「下葉処理、水切り、水揚げ」までの処理を行っており、買ってすぐに飾れる花を販売されています。はなどんやからお送りするお花は、処理されていない素材の状態ですので、到着後すぐに下葉処理、水切り、水揚げまですべてご自宅で行っていただく必要があるものです。
花束やフラワーアレンジメント、鉢植えなど頂きもののお花のお手入れ
頂きものの花は、どうやってお手入れし、飾ったら長持ちするでしょうか。
花束を飾るとき
きれいに束ねられて、ラッピングされた花束やブーケは、そのままにしておきたい気もしますが、もらって帰ったら、ちゃんと花瓶に活け替えてあげましょう。花瓶に入れる前に水切りをし、お花が元気な場合はそのまま花瓶へ移してあげます。長時間の持ち歩きなどで元気がないお花がある場合は、花束ごと水揚げしてから飾ると良いです。
<花束のラッピングは外したほうがいい?>
花束のラッピング材はすべて外します。(フィルムやゼリー、ティシュペーパーなど)
<花束をまとめている紐やゴムは外したほうがいい?>
花束の形を保つために縛られています。花束の形を崩したくない場合はそのままにしますが、お花の為には紐やゴムは外した方がベター。花が密集した状態で蒸れてしまったり、縛った部分から茎が傷みやすいためです。また、縛られた状態ではダメになったお花を抜くのが難しい。
フラワーアレンジメントを飾るとき
バスケットなどに入った吸水スポンジ(オアシス)にお花を挿して形づくったものがフラワーアレンジメント。
<フラワーアレンジメントのラッピングは外したほうがいい?>
吸水スポンジに直接敷いてあるセロファンは防水の役目があるので基本はそのままで。器の外側をカバーしているラッピングは取らなくてもOKです。ただし花全体にかかっている透明セロファンは外します。通気性が悪くなるためです。
<フラワーアレンジメントの水やりは?>
自宅に持ち帰ってすぐに一度お水をあげてください。お水が少なくなっている場合があります。スポンジが乾燥する前に、お水を根元にゆっくり注ぎます。花の上から水はかけないようにします。大量のお水を入れると染み出してきてしまうことがあるので注意しながら注ぎます。傷んだ花はその都度取り除きます。
目安としては夏場で2日に1回程度、冬場で3日に1回程度。お花の状態も確認して水をあげます。
<花を挿し直してもいい?>
挿しなおす場合、開いた穴に挿すのはNG。穴ではない別の場所に挿しましょう。その際、茎は切り戻します。
形が崩れて気になる場合は、お花を小瓶などに活けし替えて、スッキリと飾り直しましょう。
<延命剤はつかってもいい?>
アレンジメントにも延命剤入りのお水が使えます。
<吸水スポンジの処分はどうしたらいい?>
吸水スポンジは使い捨てのため乾かしての再利用はできません。商品により異なりますが、素材は基本的には樹脂製となります。自治体によって可燃・不燃ごみの区別が異なるようです。
参考)カーネーションや胡蝶蘭など、鉢植えの手入れ
頂きものの代表、母の日のカーネーションと胡蝶蘭の鉢植えのお手入れ
・胡蝶蘭の鉢植え
必ずラッピングは外します。
胡蝶蘭は寒い場所が苦手です。保管は20-25℃くらいが適温とされます。直射日光や冷暖房の近くは避け、明るい室内に置きます。
敷いてあるミズゴケの表面全体が完全に乾いてから、朝に水を与えます。水やりしすぎると根腐れの原因になります。(特に冬は控えめに)
葉の状態も影響します。葉には霧吹きをしてあげると良いです。
・カーネーションの鉢植えのお手入れ
必ずラッピングは外します。日当たりのよい場所を好みますので、お庭やベランダなど外に置きます。
鉢植えは土が乾いてきたら、根元にたっぷり水をあげるようにしてください。雨には当たらないようにします。
終わった花がらをこまめに摘み取ります。小さなつぼみを摘んであげると下の花が大きく咲きます。
長持ちする切り花の種類は?→季節ごとに適した花を選んで。
切り花が長持ちするのは気温の低い時期です。(晩秋~春先にかけてがおススメ)また、切り花にはそれぞれお花自体の旬と、流通上の旬があります。季節ごとに適したお花を選ぶのがポイントです。お花屋さんに相談してみましょう。花屋さんに出る切り花と、庭に咲く花の時期はちょっとズレています。切り花は基本的に出回りが早いため欲しい花の旬を逃がさないようにしましょう。
春におすすめの花 バラ、カーネーション、スターチス、アルストロメリア、カラーなど
3月、4月、5月ごろにおススメの花。チューリップなどの季節花が終わり、バラやカーネーションが旬を迎えてます。
夏におすすめの花 トルコキキョウ、百合、カサブランカ、アンスリウム、ひまわりなど
6月、7月、8月ごろにおススメの花。暑さに強い夏の花を選ぶといいでしょう。カサブランカに代表されるユリや、初夏にはドウダンツツジなどの枝ものも特に人気。
秋におすすめの花 リンドウ、菊、ラン(モカラ、デンファレ、胡蝶蘭など)、など
9月、10月、11月ごろにおススメの花。月単位での気温変化が激しい時期。初秋は蘭など暑さに強いものが特におすすめ。晩秋からは菊やバラなどが良いシーズンになります。
冬におすすめの花 チューリップ、ラナンキュラス、スイートピー、バラなど
12月、1月、2月、3月上旬ごろにおススメの花。チューリップやスイートピーなど、いわゆる「春の花」と思われているものの多くは冬から春の初めにかけて、切り花流通の旬です。桜やモクレン、雪柳、ミモザなどの花木もシーズンです。
※同じ季節の中でも、前半、後半など旬の時期は花により違いますので上記はあくまで目安です。
【関連リンク】はなどんや生花スタッフがおすすめする夏の花おすすめ5選
花のある暮らしを楽しむために…置き場所とお手入れ方法
お花を飾るときに避けたいのはこんな場所。
・直射日光の当たる場所
高温になりがちな直射日光の窓辺などは不向きです。
・気温の上がる場所
切り花に適する温度はおよそ15℃~20℃くらいとされています。(花により異なります。)
気温の高まる梅雨時期~盛夏は冷房の部屋での保管が適しますが、冬場であれば暖房をつけていない部屋の方がおすすめです。
・風の当たる場所
切り花は風、乾燥に弱いです。特に冷暖房の風の当たる場所は避けるようにします。
・果物の近く、たばこの煙
果物やたばこから出るエチレンガスは植物の老化をすすめます。
お花を長くきれいに保たせるお手入れ方法まとめ
・毎日の水替え・茎や花瓶の洗浄を行う。
延命剤も水替えの都度入れ替えます。
・傷んだ花びらや、終わった花を取り除いていく。
傷みの広がりを防止し、美観を整えます。
・茎を切り戻し、飾り方も変える。
小さな花瓶に活け替えるなどして、短くなった花も最後まで飾ってあげてください。
・元気がなくなった花は、再水揚げ、湯揚げしてみる。
早めにケアしてあげると効果が高い。
・霧吹きや、市販の蒸散防止剤の利用する。
花びらからの蒸散を防ぎ、花のしおれなどを抑制します。
オアシス社フィニッシングタッチ
切り花をいつまでも残したい
ここまで、切り花を長くきれいに保つ方法、長持ちする生花の種類について、ご紹介してきました。
ですが、やはり生花のままではいずれは枯れるものです。思い出のある花束やブーケなどの一部だけでも、取っておきたい。そんな時には、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなどに加工することで切り花よりも長く楽しむことができます。きれいなドライやプリザーブドにするには、新しいお花が適していますので極力お花が新しいうちに加工することが必要です。長く生花として楽しみつつも、一部を残す加工を施してみる。花のある暮らしをぜひ楽しんでください。