「梅春」「桃春」「桜春」
春といえばお花見、ガーデニング、時には花粉症など、花や植物にまつわることが多い季節ですが、春はファッションの季節でもあります。
1月にはパリ・オートクチュール・コレクション、2月にはメンズコレクション、3月にはパリ・プレタポルテ・コレクションが続き、ランウェイでスポットライトを浴びるファッションアイテムを見ていると、ついついアパレルショップに出掛けたくなるという人も多いのではないでしょうか?
私がかつて所属していた百貨店では、春を「梅春」「桃春」「桜春」の三つの季節に分けて、それぞれの春でイベントやウィンドウディスプレイ、商品ビジュアルなどを変えていました。春には秋冬にはなかった、沢山のファッションアイテムが並びますが、それぞれのアイテムやカラーによって旬の時期は違い、それを提案するタイミングも違ってきます。そんな微妙な違いを、春の花の咲き始めの時期になぞらえたのが、梅春、桃春、桜春という言葉です。
数えきれない花やファッションが盛りを迎える特別な季節に思いをはせてー
今回のテーマは「ファッションのように訪れる季節を束ねる、スプリングブーケ」
同じ春の花なのに咲く時期が微妙に違う、ビオラ、桃、桜、ラナンキュラスを束ねます。違う種類の花が咲くたびに何度でも訪れる“春”を楽しむ「佐藤俊輔のFLOWER STYLE vol.11」スタートです。
生花×造花=セミフレッシュアレンジメント
使用する生花の花材はこちら
左から、ポプラスベリー、ゼラニウムミックス、パンジーカルメンフリルMIX、千日紅グリム(グリーンホワイト)、ラナンキュラスサンキュラスピーチ、SPバラコンキュサーレ、花桃あけぼのM。それぞれ、花は5~6本、葉物は8~10本程度が適量です。
造花やドライフラワーの花材はこちら
左から、サンキライリース7cm、ペティビオラスプレーイエローピンク、淡雪の桜。ビオラは2~3本、それ以外は1つずつが適量です。
生花と造花、ドライなどの花材を一緒にアレンジする、サトウシュンスケフラワーデザインオリジナルの「セミフレッシュアレンジメント©」。今回は、生花と同じように造花を束ねる「ブーケ法」です。
佐藤が選ぶMVP花材「みやび花園さんのパンジー カルメン(フリルMIX)
使用した花材の中で毎回佐藤のお気に入りのMVPを紹介するこの企画、第11回目はみやび花園さんのパンジーです。パンジーとビオラの違いはなんですか?とよく聞かれることがありますが、一般的には花が大きいものをパンジー、小さいものをビオラと呼んでいます。しかし最近では花が小さくてもパンジーと呼んだり、その逆があったりしてその違いが曖昧になりつつあります。そんなパンジーですが最大の魅力は、ブロッチという花の中心にある模様です。パンジーは色彩や模様の再現が難しい植物としてしられています。つまり同じ品種、同じ条件で育ったパンジーでも色や模様に幅があり、同じパンジーに出会う確率はとても低いことになります。みやび花園さんのパンジーは色々な種類をミックスしてくれるので本当に1つとして同じ花がありません。そんな一期一会の出会いを楽しめるおススメのMVP花材です。
動画コンテンツ
お陰様で佐藤俊輔のFLOWE STYLEも11回目を迎えることができました。新しいことにチャレンジするのにぴったりな春の11回目に合わせて、今回からアレンジメントの作りかたを動画でお伝えしていきます。下のコンテンツよりご覧ください。
Youtubeはなどんやチャンネル「佐藤俊輔のFLOWER STYLE」
ファッションと花の親和性
いかがでしょうか?ビオラ、桃、桜、ラナンキュラスのそれぞれの花が上手に調和していれば完成です。
日本百貨店協会が発表した2020年の百貨店の売上高は前年比25%減の4.2兆円。そのうち衣料品が1兆1409億円、食料品が1兆3193億円と、初めて衣料品の売り上げが食料品に逆転されました。百貨店の前進は呉服店であることが多く、はるか江戸時代から日本の人々にファッションを通して、数えきれない季節の訪れを伝えてきた歴史をあらためて感じさせられます。
「佐藤俊輔のFLOWER STYLE」動画コンテンツも加わり、よりバージョンアップしてお届けしてきたいと思います。次回もぜひお楽しみに。
佐藤俊輔のインスタグラムでは撮影時のオフショットなども掲載しています。
この記事を書いた人
- フラワーデザイナー 佐藤俊輔
- 2014年、モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。
2017年より「女性自身」にて季節のアレンジメントを連載。
テレビ、ラジオ出演のほか百貨店の装飾など幅広く活躍中。
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