初夏を楽しむグリーンツリー
独特な枝姿や、さわやかなグリーンの葉が人気のドウダンツツジ。ディスプレイ業界では枝ぶりが立派なドウダンツツジがあれば他の花はいらないといわれるほど重宝され、ホテルのエントランスや百貨店の売り場など、新緑をつげるディスプレイとして和洋問わず、ラグジュアリーな空間に好んで使用されます。
今回の佐藤俊輔のFLOWER STYLEのテーマは「ドウダンツツジ」。
ドウダンツツジにアレンジを加えて、三つのシーズンを楽しめる三つのツリーを作ります。お庭のシンボルツリーとしてドウダンツツジを植える方も多いですが、まるで部屋の中のシンボルツリーのように一年中そばに置いて楽しむことができますよ。
「単品で生け込むだけじゃない、ドウダンツツジで365日楽しむシンボルツリーアレンジメント」
ペパーミントのような爽やかさをはらむ5月のグリーンが、6月になると濃い魅力を放ち始めます。グリーンのその一瞬の輝きを自宅に取り入れて-
ドウダンツツジで彩る365日のツリーアレンジメント。旬のグリーンから始める一日目。
「佐藤俊輔のFLOWER STYLE vol.6」始まります。
ドウダンツツジ×アジサイ
使用する花材はこちら。
左から、BBGガラス、レモンリーフ、小玉アジサイ、アルストロメリア、ドウダンツツジ
ドウダンツツジは3本、そのほかは5本~6本程度が適量です。ドウダンツツジは1mのものをチョイスしました。1mを基準に、その半分から3分の2くらいの高さの花器を選びます。今回は1mに対して40cmの花器を使用します。素材はガラス製だとドウダンツツジの美しい枝ぶりが隠されずにおススメです。
ドウダンツツジは花器の高さよりも低い位置についている枝をカットします。
カットした下枝は、葉の高さを揃えて下葉を取り除き、花材として使用できるようにします。
アルストロメリア、レモンリーフも同じように下葉をカットします。
佐藤が選らぶMVP花材「大島の小玉アジサイ」
使用した花材の中で毎回佐藤のお気に入りのMVPを紹介するこの企画、第6回目は大島の小玉アジサイです。
今年もいよいよアジサイの季節がやってきました。最近では輸入アジサイやハウス栽培などで通年を通してアジサイが手に入るようになりましたが、こういった小ぶりなサイズ感のものやワイルドな雰囲気なものが手に入るのは、露地栽培が出回るこの時期だけ!花が繊細で細かく、色も真っ白ではなくクリームがかった優しいホワイトの大島の小玉アジサイ、ぜひこの時期にお試しを。
アジサイはナイフで鋭角にカットし、中の白い綿を取り除くと水上がりがよくなります。
元気がないときは湯上げをするとよみがえります。まずは新聞紙で巻いて茎の上の部分と花を保護します。
お湯を沸騰させて火を止めてから、茎下2~3cmをお湯につけます。茎から気泡が出ているのが見えるかと思います。熱によって空気が膨張し導管から空気が押し出されているためです。
20秒~30秒ほどお湯につけたら、すぐに深く水を張ったバケツに投げ込みます。そのまま2~3時間放置しておくと、水があがりアジサイがよみがえります。
元気になったアジサイは、傷んでいる葉を取り除き、花が大きいものは花茎を間引き、大きさをそろえておきます。
初夏の風かおるグリーンツリー
ではいよいよグリーンツリーをアレンジしましょう。
長いドウダンツツジ以外の花材で花束を作ります。
花とグリーンを交互に入れてスパイラルテクニックで束にしていきます。間引いたドウダンツツジの小枝を入れるのがポイント。
レモンリーフを花束の中にも入れます。
だんだんと花束を大きくしていき、最後に余ったレモンリーフを花束の周りに入れます。
水を入れた花器に花束を先にいれ、そのあとで長いドウダンツツジを入れ込んで完成。花束の中にもドウダンツツジが入っているので、枝のドウダンツツジと調和します。
ブルースターで彩る夏の星空ツリー
グリーンツリーのアレンジ、花束は枯れていきますが、ドウダンツツジは上手に管理すれば2~3か月持ちますので、花材をプラスして、暑い盛夏にぴったりな星空ツリーを作ります。追加する材料はこちら。
左から、28番地巻きワイヤ茶色、フラワー用プラチューブM、カスミ草プチパール、ブルースターピュアブルー
プラチューブの口にワイヤを巻き付けたものを10~12個程度作ります。
ワイヤでプラチューブをドウダンツツジの枝に取り付けます。あまり枝先の細いところに取り付けると重さで垂れてしまうので、枝元に近い太い枝から順々につけていきます。
プラチューブに水をいれ、短く切ったカスミ草とブルースターを入れます。
余ったカスミソウとブルースターを簡単な束にし、長いドウダンツツジと一緒に花器に生けて完成。
暑い夏に爽やかなブルーの星が輝きます。7月7日の七夕飾りにもおすすめ!
秋を迎えるハロウィーンテイストのオレンジツリー
夏の間に楽しんだドウダンツツジもさすがに枯れ始め、葉を落としていきます。ある程度まで枯れたらあえて全部葉を落とし、枝だけにして楽しみましょう。ドウダンツツジの枝にプラスする花材はこちら。
左から、スモークツリー、造花コスモスピック、造花パンジーブッシュ、青山リボングログラン、MOKUBAグログランリボン
枝だけになったドウダンツツジに、グリーンツリーと同じように、プラチューブをワイヤで吊り下げ、水を入れずに短く切ったスモークツリーを入れます。
生花と造花、ドライなどの花材を一緒にアレンジする、サトウシュンスケフラワーデザインオリジナルの「セミフレッシュアレンジメント©」スモークツリーは特別な加工をしなくてもそのままドライになりますので、ドライになる生花を選んでアレンジする「セレクト法」を使います。
続いて、プラチューブに短く切ったパンジーやコスモスを入れ、枝にリボンを蝶結びで1色5本、計10本程度取り付けて完成。
いかがでしょうか?ふわふわとしたスモークツリーがアクセントになり、大人可愛いハロウィーンテイストのツリーの出来上がりです。水もいらずに軽いアレンジですので、場所を自由に移動してリビングだけじゃなくキッチンのアクセントそして飾ると、お料理がいつもよりも楽しくなるはずです。
秋が終わったら、飾りを取り外して、グリーンや赤のリボン、クリスマスオーナメントを取り付ければ、いつもと違ったクリスマスツリーとしても活躍します!
春夏秋冬365日のドウダンツツジ
枯れたら捨てられてしまうのが花の運命ですが、ドウダンツツジは葉を落として枝だけになってもサマになる花材です。初夏のみずみずしさ、盛夏の濃い緑、秋は紅葉、冬はシンプルな枝のラインをと、今年はドウダンツツジを一年中そばにおいて季節のツリーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
捨てないからはじめる花のある暮らし「佐藤俊輔のFLOWER STYLE」次回もお楽しみに!
ドウダンツツジについて詳しい情報が知りたい方は、はなどんやさんのコラム「ドウダンツツジの水揚げ・上手な飾り方」もぜひ参考にしてみてください。
佐藤俊輔のインスタグラムでは撮影時のオフショットなども掲載しています。
この記事を書いた人
- フラワーデザイナー 佐藤俊輔
- 2014年、モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。
2017年より「女性自身」にて季節のアレンジメントを連載。
テレビ、ラジオ出演のほか百貨店の装飾など幅広く活躍中。
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