タイニーブーケで手のひらサイズから始める花のある暮らし~佐藤俊輔のFLOWER STYLE vol.3~

自分史上一番小さな花束を形作る~タイニーブーケのリングリース~

世界一大きな花といえば、皆さんご存知の「ラフレシア」。花の直径は90cmにも達し、重さは10kg近くにもなります。このラフレシア、花を咲かせるまでに2年かかるものの、花が咲くのはわずか3日間。大きな体に似合わずとても儚い花なのです。

では、世界一小さい花はご存知でしょうか?
世界最小の花として知られているのが、「ミジンコウキクサ」。名前の通り水の上にうく浮草(うきくさ)で植物全体の大きさは1mmほど。この浮草が咲かせる花の直径はなんと0.1~0.2mm。小さすぎて咲いているのかどうか肉眼ではほとんど確認できないそうです。

大きくてもわずか3日間しか咲かない花。咲いていても見ることができないほど小さな花。「見てみたい」「もっと見ていたい」と思わせる花の魅力は大小の枠を超えたところにあるのかもしれません。

さて、花の大きさにこだわった今回の特集。皆さんはどれくらいの大きさの花束を作ったことがありますか?108本のバラに代表されるようなプロポーズの花束から、小さなコップに入れて飾れるミニブーケまで、様々なサイズの花束がありますが、小ささにこだわって作るのが今回ご紹介する「タイニーブーケ」です。

ミニ花束よりもさらに小さいサイズで、普通の花束に劣らない花数や花の種類で作る長さ10cm程度のミニマムな花束をタイニーブーケと呼んでいます。SNSでハッシュタグ「#tinybouquet」で検索すると世界中のフローリストが作った様々なタイニーブーケを見ることができますよ。

いくつになっても、何度でも、初めての経験が訪れるのが花のある暮らし。
「佐藤俊輔のFLOWER STYLE」第3回目は、自分史上一番小さな花束に挑戦~タイニーブーケのリングリース~です。

生花×造花×ドライ=セミフレッシュアレンジメント

使用する生花の花材はこちら。

左から、輸入ミモザアカシアSPバララディッシュ(グリーン/サーモン複色)SPバラ葵千日紅シスター(ピンク)

それぞれ花先から10cmほどに切りそろえる。

造花の花材はこちら。

左から時計回りに、ブルースター(シャーベットブルー)トラノオ(クリーングリーン)フォックステイルピックスターフラワーグラスピックパンジーバンドル(イエロー)カレンパンジーブーケ(イエローパープル)パンジーバンドル(クリーム)パンジーブッシュ(イエロー)ペティビオラスプレー(ホワイトパープル)ペティビオラスプレー(イエローピンク)

それぞれ花先10cm程度に切りそろえます。

ドライフラワーの花材はこちら。

左から、ブルーセージアマレリーフラワー(ライラックピンク)ラグラスユーカリエキゾチカ(ワイン)ラベンダー長作園のユーカリサンキライリース7cm

同じく花先10cm程度に切りそろえます。

生花と造花、ドライなどの花材を一緒にアレンジする、サトウシュンスケフラワーデザインオリジナルの「セミフレッシュアレンジメント®」。第一回は生花と造花をすみわけする「セパレート法」、第二回は生花をアレンジする器を造花で作る「ベース法」をご紹介しましたが、今回は水につけずにそのままドライになる生花を選んでアレンジする「セレクト法」をご紹介します。

佐藤が選ぶMVP「SPバラ葵ローズファームKEIJI」

言わずと知れた、数々のオリジナルローズを生み出している滋賀県ローズファームケイジさんのスプレーバラが、はなどんやさんで注文できます!ローズファームさんの作る「和バラ」の特徴は季節や日、時間によって変化していく表情をギュッとつめこんだ花の顔。今回使用した葵シリーズ、開いている花と蕾の表情が違うのはもちろんのこと、同じ開き具合の花、同じ硬さ具合のつぼみでも、一つ一つ表情が全く違うので一本のスプレーバラで5本分くらいのバラの表情が楽しめます。さらにこのバラが時間を重ねていくとで、ころころと変わっていく表情のバリエーションは無限大です。あなただけのお気に入りの一瞬の表情をとらえてみるのもいいかもしれません。

ローズファームKEIJI/SPバラ 葵(あおい)

STEP1.小さくてもブーケテクニックは全部おさえる

今回はタイニーブーケをさらにアレンジして、リースを作ります。まずは基本となるタイニーブーケの作り方。
10cm程度に切りそろえた花材を束ねていきます。今回はそのままドライになる生花をチョイスしているので、生花、ドライ、造花、それぞれ違う花材をすべて保水いらずで同じように束ねることができます。

スプレーバラを中心にミモザを周りに配置していきます。

さらに高さがあり花束に縦のラインをつくるラベンダー、まわりにユーカリの葉を添えて茎を麻ヒモで縛って完成です。

中心になる花(マスフラワー)のバラ、それに沿える小花(フィラーフラワー)のミモザ、デザインの骨組みになる花(ラインフラワー)のラベンダー、調和を図る葉物(グリーン)のユーカリ。
小さくても妥協しない。マスフラワー、フィラーフラワー、ラインフラワー、グリーンというブーケの基本のバリエーションをすべて入れると、奥行のあるタイニーブーケに仕上がります。

STEP2.小さい=可愛いの可能性

タイニーブーケの魅力は
① 小さいので場所を選ばずに家中の色々なところに飾れる
② 小さいので持ち運びが簡単なためちょっとしたプレゼントなど色々なシーンに活躍する
③ 小さいので普段は捨ててしまうような茎の下の方についている花や葉が使える
と小さい特徴を生かした利点が沢山ありますが、なんといっても小さいから可愛いというのが一番の魅力かもしれません。

左、セージとユーカリのタイニーブーケ 右、数種のビオラのタイニーブーケ
無機質な洗面所に彩りを

ブルースターとビオラのタイニーブーケ

ミモザとビオラのブーケ
ミモザが運ぶ春の香りと色をバスルームに

葵(スプレーバラ)とユーカリのタイニーブーケ
狭いキッチンにもタイニーならちょこんと収まります

ラディッシュ(スプレーバラ)のタイニーブーケ
玄関やリビングのオブジェや絵画に華やかさを添えて

ラディッシュ(スプレーバラ)とミモザ、ラベンダーのタイニーブーケ
お気に入りのグラスに入れてリビングのワンポイントに

花束が持つシーンを華やかにする力、みずみずしさを与える力は小さくても変わりません。

STEP3.繊細な輪をつなげてつくるリングリース

タイニーブーケを10個程度作ったら、それを利用してリースにアレンジします。

サンキライリース7cmを解してツル状に戻す。

長さ30cm~35cm程度でカットする。

2周程度の円にしてワイヤで固定、細めのリースにする。

リースを8個つくり、リース同士をワイヤでつないで大きなリースにする。

出来上がったリースの上にタイニーブーケを並べて取り付ける場所をイメージする。

タイニーブーケにワイヤを絡ませ、イメージしたリースの位置に取り付けて完成です。

360°両面表の風抜けるリングリース

いかがでしょうか?リース土台も一度分解して再度編み込みことによって、線が細く繊細なリースを作りだすことができます。壁に掛けるのはもちろん、写真のように光や風が通り抜け、透明感を楽しめるガラスや窓辺に飾るのもおすすめです。

生花の中には特別な処理をしなくても自然と綺麗なドライフラワーになるものが多くあります。そのようなものと造花を組み合わせ「セミフレッシュアレンジメント」にすれば、もっと手軽にお花を楽しめます。
※ セミフレッシュアレンジメント、「セレクト法」に適する生花
バラ、千日紅、ケイトウ、ミモザ、ラベンダー、セルリア、スターチス、カスミソウなど

小さすぎるぐらいでちょうどいい

電化製品などに代表されるように、小型化、軽量化には高度な技術が必要になりますが、花束を小さく作ることに高度な技術は必要ありません。むしろ普通サイズの花束をつくるテクニックをそのまま小さい花束に生かすことで、リアルな花束ができ面白みが拡がります。

いくつになっても、何度でも、初めての経験が訪れるのが花のある暮らし。
さっそく、自分史上一番小さい経験を更新してみましょう。

こちらの作品で使った材料はこちら

手のひらからはじめる花のある暮らし「佐藤俊輔のFLOWER STYLE」次回もお楽しみに!

 

今回の「佐藤俊輔のFLOWER STYLE」は、3月3日(火)発売「女性自身」カラー6ページ特集、佐藤俊輔のフラワーアレンジメント「和風タイニーブーケ」と連動したスペシャル企画です。女性自身では、また違ったタイニーブーケアレンジをご紹介していますので、ぜひご覧ください。

また佐藤俊輔のインスタグラムでは撮影時のオフショットなども掲載しています。

この記事を書いた人

フラワーデザイナー 佐藤俊輔
2014年、モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。
2017年より「女性自身」にて季節のアレンジメントを連載。
テレビ、ラジオ出演のほか百貨店の装飾など幅広く活躍中。
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